債権管理要綱、管理・回収マニュアルの作成・整備
◆自治体の債権管理マニュアルの整備状況
自治体の債権管理・回収手順は、法律や省令に基づいた統一した仕様はありません。
そこで自治体で、独自に「○○市税外債権管理要綱」「○○町住宅使用料徴収マニュアル」といった債権の管理要綱、仕様書、マニュアル(以下、「債権管理マニュアル」)の整備が必要となります。
債権管理マニュアルが整備されていない自治体では、各種債権の徴収所管課は、前例踏襲の慣例と担当者の経験、口伝えで、独自の方法により、債権管理を行っています。当然、債権管理の体制は脆弱で、時間の経過とともに債権の回収は困難になり、場合によっては、時効消滅させてしまう事案も散見されます。
◆債権管理マニュアルが更新されていない
かつて債権管理マニュアルを作成した自治体も、その内容が法令の改正について行けているか(
2020年施行民法改正、2024年施行個人情報保護法等)、書式に不備・欠陥はないか、日常の実務とかい離して現状に合わない手順となっていないか、各種債権の管理と統一性、整合性を保っているか、今一度チェックが必要です。
また、近時、自治体の債権管理マニュアルや市税の滞納処分停止・換価の猶予等の内部基準を定めた文書の情報公開請求が、頻繁に行われるようになりました。自治体住民からの批判にも十分に耐えうる適正な債権管理マニュアルの策定が喫緊の課題となっています。
◆債権管理マニュアルがないことによる問題点
債権管理マニュアルが作成されていないと、担当者の判断任せで基準が不明確なまま、債権管理・回収が行われることになります。
結果として、
- 【様式の不足、不備・欠陥】各種申請書、許可決定、通知書等の事務処理内容に応じた適切な様式が整備されていない。そもそも必要な書類が何か不明である。
- 【債権管理の遺漏】必要不可欠な事務および責任の所在が明確でなく、消滅時効期間の経過、連帯保証人への督促忘れなど債権管理が杜撰になる。
- 【不公平な債権管理】債権の管理方針が担当者でまちまちになり、自分の担当する滞納者に対してさえ、均一な対応・処分ができず、行政の公平を欠く。
- 【徴収職員の精神的な負担】定型的な事務処理ができないので、事務処理方法や判断に混迷が生じ、担当職員が精神的な負担を抱える。
- 【蓄積したスキルの散逸】担当職員の異動によって、蓄積された債権管理回収のスキルが伝授されず、失われてゆく。
などの弊害が生じます。
◆自治体独自のオリジナル債権管理マニュアル作成による効果
- 定型的かつ均一な債権管理・回収業務の確立
債権管理簿、督促・催告、納付折衝、分納誓約、時効管理、訴訟手続移行を定型化 - 業務処理の定型化による公平な徴収体制の確立
- 督促状、分納誓約書などの書式を整備して、将来の紛争の未然防止と回避
- 生活困窮、無財産を理由とした債権放棄、徴収停止基準の均一化
- 適法かつ条理に即したマニュアルの運用で、自治体住民から信頼を得ることができ、住民からの苦情に適切に対処できる。
◆強く作成をお勧めする必須の債権管理マニュアル
- 公営住宅使用料回収・建物明渡しマニュアル
- 各種貸付金(母子寡婦福祉、災害援助、奨学資金等)管理回収マニュアル
- 下水道受益者負担金債権管理・回収マニュアル
- 病院診療債権管理・回収マニュアル
- 学校給食債権管理・回収マニュアル
- 市税、国民健康保険税(料)の納税緩和(納税猶予、換価の猶予、滞納処分停止)基準
- 債権管理条例に基づく債権放棄(生活困窮・無財産、勝訴の見込みなし)の基準
◆債権管理マニュアルの作成・援助
債権管理マニュアルの作成は、債権の回収に精通した弁護士と共同作業により作成することが一番です。また、他の自治体と均衡のとれた内容にすることも必要となります。
当事務所では、自治体支援弁護士プロジェクトチーム弁護士と連携して自治体の徴収部署の現実の徴収事務体制を調査し、従前の職員体制に変更を加えずに、法令に適合した債権管理回収の体制を整備するマニュアルを作成いたします。
- ご依頼 →依頼される債権管理マニュアルの内容の打合せ
- 見積もり→依頼
- 徴収担当職員の配置体制、日常の債権管理につき徴収担当職員からのヒアリング、 PCシステムの仕様、文書発送体制などの調査(1~3ヶ月間程度)
- 各自治体の特徴に応じた債権管理マニュアル(素案)(3~6ヶ月間)
- 徴収担当職員の意見を聴き、内容を再検討・精査(1ヶ月間程度)
- 納品
ご依頼から、納期まで、順調に行って10ヶ月程度をいただくことになります。
費用
債権の種類、作成する内容、ヒアリング・打合せの回数等により、費用は異なってきます。費用についてはご相談ください。自治体職員1名で、つきっきりで作成する場合の費用負担をイメージしていただければと思います
なお、一度、充実した債権管理マニュアルを作成すれば、あとは微修正の積み重ねで、長期間利用することが可能です。万全な債権管理マニュアルを作成するうえで、充分な予算を組むことが求められます。
◆自治体支援弁護士プロジェクトチーム(略称;自治体PT)との連携
- 単独自治体での研修の講師依頼について
債権管理マニュアルの作成は、徴収担当所管課からのヒアリング、現状の把握、債権の発生から消滅までの手順の確認、様式のチェックを経たうえで、文章化をするというを作業が必要となります。当事務所の弁護士だけでなく、当事務所の瀧康暢が代表を務めている自治体支援弁護士プロジェクトーム(略称;自治体PT)の会員弁護士と連携し、豊富な知識と経験を集結して作成することをお勧めします。
自治体PTの弁護士は、自治体の債権管理回収について、日々研鑽を積み、基礎自治体からメール相談や自治体債権の回収の委託を受け、実務に精通しております。